ピロリ菌の検査:抗体検査の限界について

こんにちは。

中原小杉元住吉ほしおか内科消化器内視鏡クリニックです。

今回は、抗体検査の限界と、胃カメラでしっかり調べるべき理由についてご紹介いたします。

健診で受けることの多い ピロリ菌「抗体検査」 は、

「実はキットによって精度にかなり差がある」

「抗体検査だけで診断を決めるのは推奨されていない」

という、大切だけれど意外と知られていないポイントをまとめました。

当院では抗体検査は行っていませんが、健診結果を正しく理解していただくための“一般的な医学解説”としてご覧ください。

まず、結論からお伝えしますと「抗体検査だけで判断すると“見逃し”が起きる」と言えます。

  • 抗体は過去感染でも陽性
  • 除菌後も数年以上陽性が残る場合
  • 感度が100%ではない(例:80〜90%台)
  • 陰性でも感染している例がある

抗体検査には以下のような限界があります。

  • 過去に感染していただけでも陽性になる
  • 偽陰性が一定割合で存在する
  • 現在の感染を直接調べる検査ではない

健診で「陰性」と診断されたが、「胃が痛いなどの不調の症状が続く」「家族に胃がんになった人がいる」「ピロリ菌除菌されたか不明」などの場合は、追加の検査を推奨しております。

当院は、より精度の高い「現時点の感染」を知る検査を重視。

以下の検査を組み合わせることで“現在の感染状態” を、より正確に判断できます。

  • 胃カメラ(内視鏡)
  • UBT(尿素呼気試験)
  • 便中抗原
  • SmartGene(核酸増幅検査)

当院では、より正確な診断のため遺伝子検査装置『スマートジーン(SmartGene)』 を導入しています。

これは、以下の判定が可能な検査で、当院の内視鏡診断と組み合わせることで胃がんリスク評価がより精密になります。

  • ピロリ菌のDNAを直接検出
  • 抗体検査では拾えない “現在感染” を高精度で判定

当院は「専門医による胃がん予防」を行う医療機関です。

学会ガイドラインでは「抗体単独での判定を推奨しない」と明記されており、当院はヘリコバクター学会の診療指針に沿い、内視鏡専門医が最新のガイドライン(2024年改訂版)準拠 の診断を行っています。

そのため、以下の様な方は、当院に、お気軽にご相談ください。

  • 健診結果の内容に不安がある
  • 抗体検査が陰性だったけれど症状がある
  • 除菌歴がわからない
  • 抗体検査:A社88%、B社92%
  • 便中抗原:93~95%
  • UBT:94~99%
  • 胃カメラ:90~95%
  • SmartGene:95~98%

日本ヘリコバクター学会の多施設研究では、抗体検査キット間で 感度(=どれだけ感染者を拾えるか)に大きな差がある ことが示されています。

特定メーカー名は控え、A社/B社として示します。

測定キット感度偽陰性率特異度
Aキット82.1%17.9%100%
Bキット96.4%3.6%97.7%

同じ「抗体検査」でも、偽陰性率に 17.9% と 3.6% という 5倍 以上の差 が出ています。つまり、健診で「抗体陰性」と言われても、実際には感染している方が一定数含まれます。

高齢者・低抗体価タイプ・萎縮胃などの方は、抗体が陰性という結果により感染が見逃される場合があります。

胃の炎症・萎縮・ポリープ・がんリスクまで評価できる唯一の検査が胃カメラ(上部消化管内視鏡検査)です。そのため胃カメラによる検査を重視しております。

最新ガイドラインでは抗体のみで診断を確定しないことが推奨されています。そのため、前述しております通り、以下に当てはまる方は、是非、ご相談ください。

  • 家族に胃がん
  • 過去に胃炎が多い
  • 抗体陰性だが不安
  • 除菌判定を抗体でされた

抗体検査では、現在の感染が判明しない可能性があります。 また、精密な評価には胃カメラ・UBT・便中抗原・SmartGeneが有効と言えます。

検査についてのご不明な点がございましたら遠慮なくお問い合わせください。