新専門医制度/専門医資格について
新専門医制度とは、2018年度から日本専門医機構によって開始された「専門医」の新しい認定制度です。
医療の世界は複雑で、患者さんの立場からすれば、「どの科を受診すればいいかわからない」「内科を受診したいが、沢山乱立しており違いがわからない」といったお悩みを頻繁に耳に致します。
確かに今までのシステムでは、内科を専門としていなくても、開業と同時に内科を標榜することが可能でした。また専門医といっても、様々なものが乱立し、統一されておらず、質に偏りがありました。その結果、患者さんが専門医に期待するレベルと実像との間にギャップが生まれ、医師を選ぶ際の目安が分かりにくくなっていました。また、医師の地域偏在・診療科偏在は医療の地域格差を生み、全国どこでも安心して医療が受けられる環境ではありませんでした。
これらの課題を改善するために生まれたのが「新専門医制度」です。第三者機関である日本専門医機構が運用を担っています。適切な研修を受けて十分な知識と経験を持った専門医が充足することを目的とし、新専門医制度は2018年4月からスタートしています。「専門医」は乱立しており、今後も名乗れるものと、現在は名乗れていても、今後は名乗れなくなる(淘汰される?)専門医もあり注意が必要です。
今回は一般内科・消化器領域に関する院長が持つ資格をご紹介させて頂きます。病院やクリニックを選択する際の目安としてご参考下さい。
①内科認定医
内科医としての第1関門であり、比較的容易に取得可能です。内科の各専門診療科の受験に必要な資格であり内科に所属していれば大抵は持っている資格です。
新専門医制度では将来的に廃止される位置づけにあり、今後は専門医を継続する上では、後述する内科専門医の資格が必須なります。言い換えれば内科専門医の資格が無ければ今後各内科系専門医を名乗れなくなる可能性があります。
②(総合)内科専門医
内科認定医の上位版です。各専門領域の専門医に対して内科を幅広く診察出来ることを認定する資格です。比較的新しく出来た制度であり、制度が立ち上がる時は自動で取得出来たようです。地域の機関病院の勤務や多くのレポートが必須となっており、近年は非常に難しい試験として知られており、内科を専門とする医師が受けても60%を切る年もあります。実際に余りの難しさのために勉強が間に合わず、五万円の受験料を払っても10%が欠席するほどでした。今後はこの内科専門医の資格が内科を標榜する上で必須となっていきます。
近年分子標的薬等の新しい時代の薬も次々と出現し、内科全体の知識はあふれんばかりです。しかし現在は内科を専門としていない医師でも内科を標榜出来てしまいます。製品の品質や性能を定めたJIS規格(日本産業規格)というのがありますが、内科専門医の資格というのは、標準的な内科診療のスキルを持っていることが保証されているといった、内科医のJIS規格のようなものだと考えていただければと思います。内科の病気で受診するのであれば、内科専門医の資格を有するクリニックを検索したうえで受診することをお勧めします。
(参照)
時事メディカル
幅広い知識を持つ、寄り添う医師へ
~新制度で内科専門医はどう変わる?~
https://medical.jiji.com/column4/79
③消化器病専門医
特に消化器内科を専門とする医師が持つ資格です。消化器も胃腸、肝臓、胆嚢膵臓と大きく3つの領域に分かれますが、まずはこの資格取得を目指します。消化器内科を標榜する上で必要不可欠な資格と思われます。
サブスペシャリティーとして今後も存続が認められている資格です。
④内視鏡専門医
内視鏡に携わる医師が目指す資格です。いろいろな病気の治療経験も必要となり、内視鏡を行う上で必須と言っていい資格です。
サブスペシャリティーとして今後も存続が認められている資格です。
⑤肝臓専門医
肝炎や肝癌治療に携わる医師が持つ資格です。特に進歩の著しいC型肝炎治療は自治体においては肝臓専門医の資格が無ければ診療に携われない所もあります。ウイルス性肝炎は勿論のこと、近年注目を浴びている脂肪肝炎や自己免疫性肝炎や原発性胆汁性胆管炎等が疑われる場合は勿論、検診で肝機能障害が疑われた時は、肝臓専門医の診察を受けることをおすすめします。
サブスペシャリティーとして今後も存続が認められている資格です。
<文責>
ほしおか内科消化器内科クリニック
院長 星岡 賢英