2-1 大腸の検査はいつくらいから受けるべきか?~今までとこれからと~
2-1大腸がん検診
胃カメラは会社の検診や50歳以上の方であれば市の検診でやられたことがある方が多いかもしれません。一方で大腸カメラの経験がある方は、ぐっと人数が減るのではないでしょうか?そこで今回は、専門医の視点で大腸カメラを何歳頃から、どのタイミングで開始すれば良いのかを最新のガイドラインや科学的なデータから導き出された方針をご案内させて頂きます。
まずは結論から。現在は大腸カメラによる検診は40歳から行うことが推奨されています。
以下に日本人の死因トップである「がん」ですが、部位ごと、性別別ごとには下記のようになっています。
男性 1位肺がん 2位胃がん 3位大腸がん
女性 1位大腸がん 2位肺がん 3位膵がん
男女合計 1位肺がん 2位大腸がん 3位胃がん
第1章で説明したように、ピロリ菌感染者は減少しており、胃がんが年々減ってきている病気に対して台頭してきているのが大腸がんです。特に女性では全年齢でみると、乳がんや子宮がんといった女性らしいがんは含まれず、大腸がんが1位というのは以外に思われる方も多いのではないでしょうか?
大腸カメラを行うメインの目的は大腸がんを発見することです。多くのケースで大腸がんは良性のポリープが育って大腸がんとなることが特徴的です。今までのイメージとしては血便が出るまでがんが育ってから、あるいは便潜血が陽性になるまで待ってから検査を行うため、より進んだ状態で発見されてしまうことが多いので、このような状況となってしまっています。
これは非常にもったいないことであり、大腸がんは早期の段階であれば95%以上完治が可能な病気です。
今までの医療では、大腸カメラは50歳になってから、小さいポリープは放置しましょうというのが、日本の考えでした。それに対し欧米では、もう少し若いうちから検査を施行し、ポリープは小さくても切除して大腸をきれいにする「clean colon(大腸を掃除する)」という考えが主流になり、日本とは異なる考えです。その結果日本では大腸がんが増え続けていったのに対し、もともと肉食で大腸がんの多かった欧米で劇的な減少傾向を見せています。そのため昨年日本の大腸ポリープガイドラインも改定され、40歳になったら大腸カメラを受けること、小さいポリープでもとりましょうという方向に大きく流れが変わりました。検診の検便(便潜血反応)は陰性であったから当分大腸カメラはいいかな?と考えている方も、注意が必要です。便潜血は大腸がんの見逃しが多い検査です。3割以上見逃すという報告もあります。
〇まとめ
1⃣症状がなくても40歳になったら大腸カメラを行いましょう。
2⃣年齢関係なく下記のような症状が継続する場合は一度検査を受けましょう。
・血便
・下痢、便秘、便通の異常が継続する
・腹痛、膨満感や違和感が継続する