1-2 ピロリ菌はどこから来るのか?

前回は、ピロリ菌に感染していると胃がんになりやすくなることをお伝えしましたが、さてこのピロリ菌はどこからやって来て人類の胃に住み着いたのでしょうか?

答えは土の中です。土から汲み上げた井戸水や川の水を飲んで生活をしていると胃の中に入ってしまい感染が成立してしまいます。19世紀の人類はほとんど感染していたといっても過言ではないかもしれません。現代日本では上水道が普及していますが、世界的には見れば全世界の50%の人が感染しているといわれています。それでは上水道が普及している日本ではどうでしょうか?

年齢別にみると世代で全く変わってきます。高齢者の感染率がかなり高いのに対し、中学生の率は極めて低いです。しかし上水道が完備している世代でもそれなりの感染があるのはなぜでしょうか?それは人から人へ感染しているからです。基本的には唾液を介して感染すると考えられています。そこでよく頂く質問が「パートナーの方がピロリ感染と言われました。菌をもらっていないか心配です。」という質問です。この場合はパートナーの方から感染している確率は極めて低いでしょうと説明しています。なぜならピロリ菌感染は胃のバリアである胃酸の分泌をはじめとした免疫機能が弱い時(5歳未満の幼児期)に感染していると考えられています。パパやママがわが子がかわいいあまり離乳食の時期に咀嚼して小さい子供に与えていることがありました。最近では虫歯菌が移るからやってはいけませんよと指導されていることが多いですが、虫歯菌だけでなくピロリ菌も移っているのです。実際に現代日本のピロリ菌感染は80%が家族内感染で、そのほとんどが母親からと考えられています。

以上のようにピロリ菌は家族内感染します。家族で一人ピロリ菌が見つかればその両親、家族、兄弟も調べるべきなのです。逆もまた然りです。ご家族がピロリ菌に感染していれば、ご自身も調べる必要があります。しかし実際にはピロリ菌治療に携わる中で医師からそのように指導を受けていない患者様が多いことに日々驚かされています。目の前のピロリ菌を見つけることで胃がんの負の連鎖を断ち切ることができるのです。私はそのような気概で、より確実にピロリ菌を見つけることに全集中しています。次世代の胃がんゼロを目指しています。

ご本人のため、ご家族のため、愛する人のために、胃カメラによる検診を受けましょう!

次回はピロリ菌の検査方法についてご紹介したいと思います。