肝臓内科とは
肝臓内科は、主に肝臓に生じる病気の診断・治療を行なう専門診療科です。お酒の飲みすぎなどによって肝臓がダメージを受けることは広く知られていますが、実際には肝臓に問題が生じていても、なかなか自覚症状が現われず、病気が進行するまで見過ごされるケースがよくあります。定期的に肝臓内科を受診し、肝臓の異変を早めに見つけ、適切な治療に繋げるようにしましょう。
当院の肝臓内科では、日本肝臓学会の肝臓専門医である院長が、B型肝炎、C型肝炎などのウイルス肝炎をはじめ、生活習慣病に起因する脂肪肝など、肝機能障害に関する診療を幅広く行っております。これまでの経験をもとに丁寧な診察を心がけておりますので、お気軽にご受診ください。
肝臓内科の主な対象疾患
- B型肝炎
- C型肝炎
- 非アルコール性脂肪肝
- 非アルコール性脂肪肝炎
- 自己免疫性肝炎
- 原発性胆汁性胆管炎
- 肝硬変症
B型肝炎
B型肝炎ウイルスに感染している人の血液や体液に接触することによって罹患する病気です。感染経路としては、母子感染や後天性の性的接触・輸血・臓器移植・刺青・針刺し事故などがありますが、近年は性交渉の多様化などに伴って感染するケースが目立っています。
B型肝炎の中には、感染した時期や健康状態によって一過性感染で終わる場合もあります。しかし、6ヶ月以上にわたって感染が持続する持続感染も非常に多く、B型慢性肝炎に移行するので注意が必要です。
治療に関しては、大きく分けて抗ウイルス療法(インターフェロン療法、核酸アナログ製剤療法)と、内服薬や注射薬による薬物療法があります。B型慢性肝炎の場合、ウイルスを体から完全に排除することが困難です。そのため、ウイルスの増殖力を低下させ、肝炎を沈静化させることを目的に治療が行われます。
C型肝炎
C型肝炎に罹患している人の血液や体液を介して感染する疾患です。以前は血液製剤や注射針の使い回しによって感染するケースが見られましたが、現在の日本では、このような原因で新たに感染することは殆どありません。また、空気感染や経口感染はありません。
しかし、依然として医療機関以外で行われたピアスの穴あけ、刺青、覚せい剤などの回し打ち、不衛生な状態での鍼治療によって感染するケースが国内でも見られています。
現在では内服のみでC型肝炎をほぼ100%に近い確率で治療できる内服が登場しています。
肝炎ウイルス検査について
B型肝炎やC型肝炎による病気の悪化を食い止めるには、肝炎ウイルス検査を受け、ご自身の状態をきちんと把握しておくことが極めて重要です。特に、下記の項目に該当する方は肝炎ウイルスの有無などを確認しておくようお勧めします。
- これまでにB型肝炎・C型肝炎のウイルス検査を受けたことがない方
- ご自身のB型肝炎・C型肝炎ウイルス検査の結果をご存じでない方
- 親族がB型肝炎ウイルス・C型肝炎ウイルスに感染している方
- 親族に肝がんの患者さまがいらっしゃる方
- 健康診断で肝機能異常を指摘されたものの、まだ肝臓内科を受診していない方
- 母子感染予防策が実施されていなかった1985年(昭和60年)以前に生まれた方
- 大きな手術などで輸血を受けたことのある方
- 刺青を入れたことのある方
- 医療機関以外でピアスの穴あけをしたことのある方
など
非アルコール性脂肪肝/非アルコール性脂肪肝炎
非アルコール性脂肪肝は、お酒を日常的に飲んでいる訳でもなく、B型肝炎やC型肝炎などの病気も患っていないのに、肝臓に脂肪が溜まってしまう状態です。飲酒によって肝臓がダメージを受けることは広く知られていますが、それだけでなく、カロリーの高い食事が続いて肥満になったり、ストレスのたまる生活を続けていると、肝臓内の細胞に大量の脂肪が入り込んでしまいます。
健康診断で脂肪肝を指摘された方の中には、「お酒を飲んでいないから大きな問題は生じないのだろう」と軽視され、医療機関を受診されない方もおられるようです。しかし、非アルコール性脂肪肝の状態を放置していると、肝臓の深刻なダメージが生じる状態へと進行していきかねません。やがて肝臓がんの原因になることが世界的に問題になっておりますので、お早めに肝臓内科を受診するようお勧めいたします。
今までは肝臓に針を刺して検査をしないと肝臓のダメージや脂肪肝の程度を確認できませんでしたが、当院では神奈川県のクリニックでは初導入1号機となる特別なエコーを用いて肝臓のダメージや脂肪肝の程度を数値化して評価することで、より丁寧に脂肪肝の経過を観察していきます。
自己免疫性肝炎
自己免疫性肝炎は、肝細胞が徐々に破壊され、全身倦怠感や疲労感などが見られるようになる指定難病のひとつです。15年ほど前には人口1万人あたり罹患者が1人いるかどうかの疾患でしたが、高齢化の進展などを背景として、最近は1万人あたり2~3人に増えていると言われています。もともと中年女性に比較的多く見られたのですが、高齢男性で発症するケースもあります。
この病気の原因は明らかになっていませんが、自己免疫の関与が示唆されています。そのため、治療にあたっては、まず副腎皮質ステロイドを内服します。これにより、一般的には肝機能の検査値が改善します。但し、服用を完全に中止すると自己免疫性肝炎が再び増悪しかねません。担当医の処方に従い、適切にお薬を飲むようにしましょう。
原発性胆汁性胆管炎
原発性胆汁性胆管炎は、胆汁の流れが滞って胆管・胆嚢にうまく流れなくなり、肝臓の細胞が破壊されたり硬くなってしまう慢性の病気(指定難病)です。人口1万人あたりの罹患者は概ね2人弱ですが、実際にはこれよりも多いと見られています。原因に関しては、よく分かっていないのですが、自己免疫反応によるものだと想定されています。
この病気になっても、初期段階では目立った自覚症状はありません。しかし、徐々に皮膚のかゆみが起こったり、黄疸が見られたりします。さらに進行すると、胃食道静脈瘤や肝臓がん、肝硬変などを併発することもあります。
治療にあたっては、確立した根治的治療法がないため、対症療法が中心となります。免疫反応による炎症を抑えたり、肝硬変へ移行させないためのお薬を投与します。